Vol.167「スーパーマーケット環境調査に参加しよう! 今年秋に実施予定!」 堀 孝弘

 


「スーパーマーケット環境調査に参加しよう!今年秋に実施予定!」


堀 孝弘
(京都市ごみ減量推進会議)


 


  

〇検定に合格して「なにかやろう」と思う人向けの情報
 検定に合格された皆様の中には、お住まいの地域社会に影響を与えることができる活動への参加や、自らそういった活動の創出を考えている人もいらっしゃることでしょう。
 このコーナーでは、今回と次回に分け、2022年11月に京都市内で実施した「スーパーマーケット環境調査(お店のプラスチック調査)」と、調査結果を活かして行った活動を紹介します。2023年秋には、全国のどの地域でも参加できる活動にブラッシュアップさせる予定です。上記のような思いを持ってらっしゃる人に、ジャストフィットの情報です。

〇え!フランスは63%の野菜・果物がはだか売りなの?
 2022年1月、パリ協定の採択地フランスから、こんなニュースが流れてきました。フランスで「野菜・果物31種について包装を付けた販売を禁止」というニュースです(未加工、1.5kg未満を対象)※。2019年に制定された循環経済法の一部が施行されたのですが、施行の際、フランス政府から「現在フランスの青果物の37%が包装を付けて販売されている。今回の処置で年間10億個以上のプラスチック包装が削減できる」というコメントが出されました。
 このニュースを見た時、筆者は「ということは、差し引き63%の野菜・果物は無包装で販売されているの?」と驚きました。「37%」がどこまで正しいか横に置いても、ずい分と少ない数字に感じました。

〇日本は何%なの? 今後の削減成果を知るためにも情報が必要では!
 では、実際に日本のお店の野菜・果物のプラスチック包装は何%でしょうか。圧倒的に多くの人か買い物に訪れるスーパーマーケット(以下、スーパー)店頭のプラスチック包装について調べた論文や記事を探しました。ですが、新型コロナの影響もあり、近年実施された調査報告は見当たりませんでした。
 プラスチック問題が大きな関心を集めている昨今、今後少しずつプラスチック(特にワンウェイプラスチック)の使用量は減っていくと思われます。ただ、数年後、プラスチック削減の成果を見ようとした時、いつと比べて、どれだけ減ったか知るためにも「基点となる情報」が必要だと思います。

〇事業者の良いところさがしを基本に、消費者の理解を広める!
 プラスチックは安くて便利で、とても重宝するものですから、簡単には減らせません。また、事業者だけのがんばりではなく、市民・消費者の理解や行動が必要です。多くの人が「これはプラ包装なしでもいいんじゃないの」と思う対象商品を明らかにすることが必要です。そのためにも、自分たちの暮らしのまわりで、どれだけのプラスチックが使われているか、明らかにすることは意味のあることだと思います。
 また、チェーンや店によって、プラ包装や省エネの取組は異なります。よい取組を見つけて地域に広め、他のチェーンや店の参考になれば、地域全体の取組向上につながるとともに、紹介された店で働く人たちにとっても励みになると思います。

〇京都市内でスーパーマーケット調査を実施
 このような思いで、2022年11月京都市内でスーパー店頭での環境調査を行いました。京都大学浅利美鈴准教授と研究室メンバーの協力を得て調査票を作成し、京都市内に複数店舗をかまえるスーパーチェーン25社のうち20社に調査への協力を依頼しました。募集に応じた市民・学生46人の参加を得て、京都市内62店(市内全店の4分の1ほど)で調査を実施しました。実現に至るまでの詳細は、以下のサイトをご覧ください。
 京都でスーパーマーケット環境調査を実施1(準備編)
 http://horitakahiro.sakura.ne.jp/2023/01/14/supermarket_1/ 

〇はだか売りの割合を調べた結果は驚きの数字!
 青果物売り場では、日常よく使い、通年入荷する10種の野菜(だいこん、にんじん、かぼちゃ、じゃがいも、トマト、たまねぎ、きゅうり、なす、ねぎ、キャベツ)のはだか売り販売を、商品棚に占める割合と商品点数比を調べました。結果、商品棚に占める割合は25.7%、商品点数比で17.6%という試算結果を出しました。ということは、プラ包装比率が70~80%以上になります(詳細は下記サイト参照)。これはあくまでも京都市内の62店で、10種の野菜を対象にした結果ですので、他の地域、他の条件では数字は変わるはずです。
 京都でスーパーマーケット環境調査を実施2(野菜のプラ包装報告・前編)
 http://horitakahiro.sakura.ne.jp/2023/01/19/supermarket_2/ 

〇2023年秋には全国調査を実施予定!
 先にフランスの「無包装63%」を紹介しましたが、フランスと日本では気候、食料自給率(産地との距離)などが大きく異なり同じことはできません。ただ、京都市内で調査した結果、チェーンによって包装の程度に大きな差がありました。ということは「減らせる余地」はあるはずです。チェーン名は伏せますが、第2回でチェーンによる違いも報告します。
 そのうえで、先に書きましたように、他の地域で同様の調査を行っても、同じような結果になるか、2023年10~11月に全国調査に取り組みたいと思っています。詳細は次回の続編記事で紹介しますのでご期待ください。

※ JETRO(日本貿易振興機構)「2021年1月から小売で野菜・果物のプラスチック包装禁止(フランス)」配信日2021年10月20日
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/10/8fb8d7bbd751ffa6.html (確認2023年3月10日)

堀 孝弘

【プロフィール】

堀 孝弘(ほり たかひろ)
NPO法人エコネットきんき職員(きんき環境館勤務)。京都市中京区生まれ。
9 歳の時、郊外の西京区松尾大社近くに転居。広大な田畑や山と 川、竹林、里山が遊び場だった。企業、生協職員から環境 NGO専従スタッフ、大学職員、大学講師、自治体管理職などを経て 2015 年から8年間、京都市ごみ減量推進会議に勤務。2023年4月21日より現職。自治体の環境基本計画の策定や推進などにも携わってきた。

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