Vol.155「検定合格者の皆様へ」 堀 孝弘


「検定合格者の皆様へ」

堀 孝弘(公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会)

 


 3R・低炭素社会検定の新規合格者の皆様、おめでとうございます。昨年度以前の合格者の皆様ともども、得られた知見を活用して、ご活躍されることを祈念いたします。
 さて、今年(2022年)2月以降のウクライナ危機は、私たちに平和や人命の尊さとともに、「普通の暮らし」の大切さをあらためて感じさせました。あわせて、食料やエネルギーの大半を海外からの輸入に頼る私たちの国が、このような国際的な有事に大きく影響を受けることもわかりました。そのことは食品ロスの削減や低炭素社会の実現が「いつかできたらよいこと」ではなく、社会の必須課題であり、かつできるだけ早く実現する必要性も感じさせました。また、使い捨てプラスチックの利用見直しも、「もったいない」だけでなく、身近にできる石油資源の削減策として重要になることでしょう。
 このことは、これからの社会において3R・低炭素社会検定合格者への役割や期待が高くなることも意味します。合格証は飾っておくだけのものでなく、得られた知見を職場や地域で活かしてこそ意味があります。ただ、知識と知恵は違います。知識を活かす術が知恵。同じ知識や情報でも伝え方次第で、相手への伝わり方が違います。3R・低炭素社会検定の合格はひとつのステップであり、ゴールではありません。伝え方をはじめ様々なスキルを身につけ、職場や地域、社会に良い影響を与えてください。
 一つだけ、アドバイスをさせていただきます。人の話をよく聴く人が自分の話も聴いてもらえます。この場合の「きく」は聴く。聞くと聴くは同じ「きく」ですが、一方は門の奥に耳があり、もう一方は耳に徳が備わっています。英語ではhearとlistenで別の表現になります。hearは「聞こえる」「耳に入る」。listenは「注意して聴く」「耳を傾ける」。どれだけ多くの知識や情報を得ても、まわりの人たちの意見や思いをしっかり受け止める姿勢を、これからも大切にしてください。

堀 孝弘

【プロフィール】

堀 孝弘(ほり たかひろ)

(公財)京都市環境保全活動推進協会職員(京都市ごみ減量推進会議事務局)。京都市中京区生まれ。9歳の時、今でも緑の多い西京区松尾大社近くに転居。広大な田畑や山と川、竹林、里山が遊び場だった。企業、生協職員から環境NGO専従スタッフ、大学職員、大学講師、自治体管理職などを経て2015年より現職。自治体の環境基本計画の策定や推進などにも携わってきた。

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