Vol.140「環境人材」とは 高月 紘



「環境人材」とは

高月 紘

 

 3R・低酸素社会検定は環境に関する優れた人材を育成しようと始められた検定である。環境問題を解決するためには、環境保全技術の開発が不可欠であるとの意見もあるが、環境技術のイノベーションよりもっと大切なものは、やはり環境に関する優れた人材、すなわち「環境人材」である。それでは「環境人材」とはどのような人であろうか?
 当然ながら、環境問題に関心の高い人であり、何かの環境問題を学びたいと思っている人である。しかし、環境問題は多岐にわたっており、ある特定の環境問題を取り上げて、その分野だけで環境問題を理解することは、あまり望ましい方法とは言えない。具体的に言えば、廃棄物問題や温暖化防止対策を考える際に、廃棄物の処理方法や温暖化防止技術だけに目を向けるのではなく、問題の背景にある資源問題、エネルギー問題についても理解を深めた上でその解決方法を考えなくてはならないのである。その意味において、3R・低炭素社会検定では、各環境問題をその背景も含めて、幅広く学び、俯瞰的に環境問題をとらえることを期待して、テキストの作成や検定問題を設定しているのである。
 さて、それなりに環境問題についての知識を獲得しても、環境保全活動に積極的に取り組まない人は残念ながらすぐれた環境人材とは言えない。ごみの減量や省エネ活動など何らかの環境保全活動に取り組んで初めて環境人材としての評価を得られることになる。すなわち、幅広い環境問題への知識と環境保全活動への行動が伴ってこそ、優れた環境人材と言うことができるのである。わが国では、残念ながら、環境保全活に取り組む人の数が少ないと言われている。検定に合格された皆さんは、ぜひ、優れた環境人材を目指して活躍してほしいものである。

高月 紘

高月 紘

【プロフィール】
高月 紘(たかつき ひろし)
ペンネーム:ハイムーン(High Moon)
京エコロジーセンター館長、京都大学名誉教授、工学博士
日本漫画家協会会員
専門:廃棄物処理、環境教育
著書:「ごみ問題とライフスタイル」「漫画ゴミック廃貴物No1~8」

Hiroshi Takatsuki
Pen name: High Moon
The director of Miyako Ecology Center, An emeritus professor of Kyoto University, A doctor engineering
A member of Japan cartoonist association
Subject of study: waste disposal, environmental education
Book: waste problem and lifestyle, cartoon Gomic No1~8

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