Vol.133「低炭素社会:2050年80%削減に向かって」 酒井 広平


「低炭素社会:2050年80%削減に向かって」

酒井 広平

 

 今回は、低炭素社会分野と関連して、日本が世界に向けて掲げている2050年80%削減の方向性について、電気と熱のエネルギー消費面からみてみます。

 一般に、エネルギー消費は電気と熱からなります。
 家庭を例にすると、照明やテレビなどを電気の消費、燃料(灯油やガス)を利用した暖房や給湯を熱の消費としています。
 ただし、電気を使って(冷)熱を作り出すエアコン、こたつ、冷蔵庫、IHなどについては電気の消費とみなします。
 自動車についても同様にガソリン車は熱、電気自動車は電気とみなします。

 2050年80%の大幅削減の方向性は電気と熱の関わりから下の図のように表現され、CO2排出量は「エネルギー消費量」×「CO2排出強度」で表されます。


2050年大幅削減の方向性
図:2050年大幅削減の方向性
出典:中央環境審議会「長期低炭素ビジョン」

 1つ目の方向性が、「エネルギー消費量の削減」、すなわち、省エネです。
 これは、電気・熱の両方に言える話になります。

 2つ目の方向性が、「エネルギーの低炭素化」です。
 再エネ電力の導入や熱利用におけるバイオマス利用やガスへの燃料転換が該当します。

 3つ目の方向性が、「利用エネルギーの転換」で、熱から電気利用への転換が該当します。
 これが一つ重要な要素で、電気は熱に比べ、低炭素化が可能であるため、このシフトが必要となります。

 さらに、この図で表現されない4つ目の方向性として、「電気の賢い利用」を挙げておきます。
 電気は燃料に比べて貯めにくいという性質を補う蓄電やデマンドレスポンス(需要側の調整)などの技術で、上記3つの要素を促進させるために必要な要素となります。

 こういった2050年80%削減に向けた方向性も踏まえ、検定合格者の皆様が低炭素社会構築に向けて活躍されることを願っております。

酒井 広平
酒井 広平

【プロフィール】
酒井 広平(さかい こうへい)

石川県出身/1979年生まれ
技術士(環境部門)、環境カウンセラー(市民部門、事業者部門)、エネルギー管理士


株式会社エックス都市研究所において、環境コンサルタントとして、省庁や地方自治体の低炭素社会の構築業務等に従事。
前職の、国立環境研究所 温室効果ガスインベントリオフィス(GIO)においては、日本の温室効果ガス排出量の算定等に従事。
3R・低炭素社会検定においては、低炭素社会部門発足の際(2010年頃)から検定テキストや問題解説集の編著など実行委員として参画。

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