Vol.127 「3R・低炭素社会検定~「知」の実践から連携に向けて~」 村岡 良介



「3R・低炭素社会検定~「知」の実践から連携に向けて~」

村岡 良介

 師走に入り、諸事何かと気忙しい今日この頃です。
 私がこのコラムにメッセージを寄せるのは創刊以来5回目になりますが、今回はニュースレターの編集長として、遅ればせながらのご挨拶を兼ねて思うところを認めさせていただきます。


 かつて私は、当初の「3R検定」を、「持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)」の用語を引用し、知識を持つことを意味する「知の移転」から、「知の獲得」と「知の連結」を目指していると表現したことがあります。
 学習者が単に知識を習得するだけでなく、自ら価値観を見つめ直し、よりよい社会づくりに参画するための力を育み、それを活用して行動に繋げる実践的教育であり、協同的に価値を創造していく一つの有効なツールとなる期待を込めました。
 読者の皆様も、検定に取り組むことにより、知を獲得、連結されて、既に多くの方が「知の実践」により地域や職場で活躍されていることと思いますが、私は、この「知」を今まさに次のステップとして「連携」し、展開すべき時ではないかと思っています。


 例えば、プラスチックの資源循環です。
 政府は第四次循環型社会形成推進基本計画を踏まえ、資源・廃棄物制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化、アジア各国による廃棄物の輸入規制等の幅広い課題に対応するために、3R+Re newable(再生可能資源への代替)を基本原則とした「プラスチック資源循環戦略」を策定し、本年5月31日に公表しました。
 リデュース、リユース、リサイクルの具体策とバイオマスプラスチックの導入を掲げ、それぞれのマイルストーンを提示しています。


 ともすると、この数値が注目されて達成の可否が議論になりがちですが、私たちができること、すべきことは、そこに示された環境負荷の少ない3Rの「知の実践」です。
 さらに言えば、下図に赤色で示したように、この3Rのループから外れて環境に負荷を与える赤色の流出を断ち、投棄、散在、漂流、漂着している物を回収し、3Rのループに乗せることです。


図 プラスチック・スマートのイメージ(環境省資料に著者加筆)
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 私たちがリーダーシップを発揮して、個人や各団体・企業がプラスチックの3Rを「知の実践」として取り組み、知の実践が「連携」できれば、相乗効果によってより大きな成果の得られる仕組みが構築できます。
 プラスチックと賢く付き合う「プラスチック・スマート」は、プラスチックの3Rであり、循環型社会を目指すことに変わりありません。
 そのキャンペーンのロゴマークの下に800を超える個人、企業・団体による「知の実践」が集まり、その内容を国内外に発信しています。
 これらの「知の実践」の「連携」を促進するために、「プラスチック・スマート」フォーラムが設立され、情報の共有や対話と交流を推進するプラットホームの機能を有しています。
 そして、このハブを活用し、プラスチックの3Rを効果的に推進するための「知の連携」を実現しませんか。


フォーラム事務局(問い合わせ先):一般財団法人日本環境衛生センター
TEL:03-6809-2777
E-mail:ps-forum@jesc.or.jp
http://plastics-smart.env.go.jp/about/forum

 

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村岡 良介

【プロフィール】
村岡 良介(むらおか りょうすけ)

1956年神奈川県川崎市出身、横浜市在住。

一般財団法人日本環境衛生センターで3R、廃棄物処理に関する調査、普及啓発、図書出版、人材育成等の企画、運営業務に39年余り従事し、自らも講師・講演、執筆活動に取り組んでいる。

環境カウンセラー(市民部門、事業者部門)
3R・低炭素社会検定運営委員ほか

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