Vol.125 「プラスチック問題の解決に向けて」 生井 秀一



「プラスチック問題の解決に向けて」

生井 秀一

 去る6月28日と29日に、G20サミットが大阪市で開催され、主要テーマの1つとして、近年問題視されている海洋プラスチック問題が話し合われました。
 会議での成果として発表された首脳宣言では、新たな海洋プラスチック汚染を2050年までにゼロにする事を目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有。
 プラスチックの重要性を認識しつつも、管理を誤ったプラスチックごみの流出を減らすなど、包括的なアプローチによって海洋プラスチックごみによる汚染の削減を目指すこととしています。


 一方、海に面した横浜市は、世界に向け日本の玄関口として開港してから、今年で 160 年となりました。
 海から恩恵を受け、港とともに発展してきた横浜市においては、海洋汚染に端を発するプラスチック問題はより身近な危機であることは言うまでもありません。
 プラスチック対策の取組を進めていくうえでは、市民・事業者の皆様に具体的に行動していただくことが重要であることから基礎自治体の役割が欠かせません。


 そこで、横浜市はプラスチック問題の解決に向けて、具体的な行動を示した「よこはまプラスチック資源循環アクションプログラム」を策定しています。(令和元年6月24日~7月31日の期間、市民意見募集しました。)
 未来の子どもたちに豊かな自然環境を継承していくためにも、このプログラムをきっかけとして、市民・事業者の皆様一人ひとりがプラスチック問題を自分のこととしてとらえ、対策を進めるための具体的な行動に繋げていただけるよう、取り組んでいきます。


プログラムを推進するため、資源循環、海洋流出対策、連携協働の3つを重点戦略として掲げます。


■重点戦略Ⅰ:資源循環
~ワンウェイプラスチックの削減、プラスチックの分別・リサイクルの更なる推進~


・レジ袋やストローなど、ワンウェイプラスチック製品の削減を推進するとともに、プラスチック製品を使用する際は、可能な限り長く使うことを推進し、更に、廃棄する時は、分別・リサイクルを徹底します。
 また、代替素材の利用促進も合わせて進めます。


・また、ごみ量の大幅な削減を実現するなど、日本の環境行政をリードしてきた横浜市として、これまで培ってきた経験やノウハウを生かし、新興国の廃棄物処理課題の解決に貢献していきます。


■重点戦略Ⅱ:海洋流出対策
~プラスチックの飛散流出の防止~


・港湾都市であり、大小さまざまな河川のある横浜が、市民・事業者・行政の協働による清掃活動などを通じて、プラスチックが自然界に流出することがないように対策を講じるとともに、流出してしまったものについては出来る限り回収するよう、清掃活動等を推進していきます。


■重点戦略Ⅲ:連携協働
~取組を加速させていくための市民・事業者との協働~


・資源循環・海洋流出対策を横断的に行い、取組をより一層、加速していくための体制を構築していくため、市民・事業者の皆様との協働を進めていきます。
 併せて、活動のベースとなるプラスチックの資源循環等に資する仕組みづくりに向けた国への働きかけや、調査研究などの取組を進めていきます。

 

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生井 秀一

【プロフィール】
生井 秀一(なまい しゅういち)
 横浜市 財政局 公共施設・事業調整課 担当課長
 第10回 3R・低炭素社会検定(3R部門)合格者 リーダー・ゴールド
 
 主に一般廃棄物処理施設の計画・設計・維持管理に従事し、その後環境省に出向。
 環境省では、東日本大震災の教訓を踏まえ、大規模災害で生じた廃棄物を円滑・迅速に処理するための法案改正や自治体の災害廃棄物処理計画の策定支援に尽力した。

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