Vol.88 「企業人リーダーのみなさん、情熱とアイデアで実践を!」村岡 良介



「企業人リーダーのみなさん、情熱とアイデアで実践を!」

村岡 良介


 3R・低炭素社会検定は、企業や団体に属している方々も多く受検されています。
 では、そのような方々が検定の合格者として、獲得された「知」をどのように活用されているのか、また、活用していけば良いのか、今回は3Rの実践を取り上げて紹介したいと思います。
 勿論、これらの事例は、低炭素社会分野の実践に通じる要素が多分にありますので、きっと参考になると思います。

 私は、ある自治体の依頼により、「3R推進アドバイザー」として企業を訪ね、実際に取り組みの現場を拝見したり、相談を受けたり、意見交換を行うという仕事を7年続けています。
 既に50社余りの企業を訪問させていただきました。これらの経験を通じて思うことが二つあります。

 一つは企業が3Rの取組みに成功するには必ず強い志を持ったキーパーソンがいらっしゃるということです。
 立場は様々です。
 企業の方針としてトップダウンで行われてる企業もありますが、例えば環境マネジメントシステム(EMS)の事務局員であったり、職場の環境保全推進員であったり、管理部や総務部の担当者であったりです。
 このような方々が、廃棄物処理責任の問題意識を持ち、3Rの意義を理解し、目的意識を持って、何をどうすることにより、どうなる(うまく3Rが推進される)かを知っていて、経営層や他の社員を説得しているということなんです。
 その過程においては、みなさん苦労されていますが、知識や情報を持って取り組んでいますから説得力がある。
アイデアや応用力により、自社スタイルに仕上げておられる。
それもコストや時間も労力も掛けずに実践する技を発揮されています。
3R検定によって獲得する豊富な「知」(知識や情報)は、きっとその行動力を支えます。

     
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 二つは3Rの取組みは、企業に経営効果、利益をもたらすということです。
 端的に言うなら、3Rの取組みにより、原材料費を節減し、廃棄物を減量してその処理に係る費用を節減する。
 一方で、3Rの推進により生産性を向上し、分別の徹底により純度の高いリサイクルを実現し、原材料、燃料などの資源として売却する、あるいは副産物、製品・商品化して販売し収益を得る。
これらが実現することにより、3Rは経営支援ツールとなり得ます。
 加えて、これらの取組みは、全社員の参加、理解と協力をもって実現するものですから、計画して、実施して、チェックして、継続的に改善し、実行する過程でコミュニケーションが推進され、相互理解が深まり、社内統制や士気高揚という効果にも繋がります。
 さらに、取り組みの成果をステークホルダーや社会に発信し、コミュニケーションを行えば、企業の社会貢献によるブランドイメージの向上による経営効果も期待できるのではないでしょうか。

 

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村岡 良介

【プロフィール】
村岡 良介(むらおか りょうすけ)

1956年神奈川県川崎市出身、横浜市在住。

一般財団法人日本環境衛生センターで3R、廃棄物処理に関する調査、普及啓発、図書出版、人材育成等の企画、運営業務に36年余り従事し、自らも講師・講演活動に取り組んでいる。
環境カウンセラー(市民部門、事業者部門)
廃棄物・資源循環学会企画運営委員
3R・低炭素社会検定実行委員ほか


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