Vol.82 「第8回3R・低炭素社会検定を終えて」 浅利 美鈴



「第8回3R・低炭素社会検定を終えて」

 

浅利 美鈴

第8回目となる2015年度の3R・低炭素社会検定が無事終わり、関係者一同ほっとしています。今年も日本の先端の研究者らが知恵を絞り、議論を重ねて考えた問題・・・みなさんにはどう映ったのでしょうか?
 さて、その中から、ホットな話題が含まれるものを数問選んでご紹介してみたいと思います(実際の質問とは若干変えている部分もあります)。正答は最後の方に出しますので、みなさんもまずは答えに目をやらずに、挑戦してみてください。


【問1】食事の仕方に関する文章で、最も不適切なものを1つ選べ。

1.総菜やコンビニ弁当などの調理済み食品を自宅で食べることは「中食(なかしょく)」と呼ばれる

2.外食では、食べられる量に応じてご飯の量を少なくするなど、注文時に伝えることができれば、食べ残しを減らせる

3.調理済み食品を利用すると、家庭で発生する調理くずを減らすことはできるが、容器包装のごみが増える面もある

4.男性が家庭の料理に関わることが多くなり、日本平均では、男女の1日平均の調理にかける時間はほぼ等しくなっている

 ⇒食品ロスの問題が様々な形で社会問題化する中での出題となりました。
 多くの自治体で残された課題(重量ではもっとも多くを占めます)の一つが「生ごみ」です。生ごみの中でもまず減らしたいのが、食べられる状態のものや食べられる部分、封も開けられずに捨てられる「食品ロス」。様々なライフスタイルや社会の変化で年々増えていると言われていますが、今や台所を守る女性だけの問題ではありません。みんなで削減策を考え、実践しましょう!


【問2】2013年10月に、「水銀に関する水俣条約」が採択された。この条約に関する内容として誤っているものはどれか?

1.水銀及び水銀化合物の人為的な排出及び放出から、人の健康及び環境を保護することを目的としている

2.新規の水銀鉱山の開発を禁止している

3.水銀を使用する製品の製造を原則禁止としている

4.水銀の環境全般への排出量に関して、締約国ごとの削減目標値を定めている

⇒水銀条約が制定されて2年が経過しましたが、日本国内でも条約への対応が進められています。家庭ごみと関連する取組としては、蛍光管の回収・リサイクルなどの取組が促進されていく予定です。今回出題されませんでしたが、ご注目ください!


【問3】2014年に出版された米国の作家ジェニファー・L・スコットによるシンプルなライフスタイルに関するエッセイのタイトルは「 【A】人は10着しか服を持たない」である。【A】にあてはまるのは?

1.トルコ
2.ドイツ
3.日本
4.フランス

⇒断捨離に続いて、「ミニマリスト」が大流行しています。いろいろな考え方に対して、3Rの視点から、みなさんも色々な意見をお持ちではないでしょうか?本NLでも何か企画ができないかと考えています。



【問4】2015年にわが国で「夏の生活スタイル変革」国民運動として広がった言葉として、誤っているものはどれか?

1.朝型勤務
2.ゆう活
3.早寝早起き
4.終活

⇒実践された方もおられるのではないでしょうか?この中で「誤っているもの」に該当する回答も、最近、広がっている言葉です。



【問5】2015年11月末~12月にかけて開催されたCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)の論点として、正しいものはどれか?

1.京都議定書の第二約束期間をいつからいつまでにするか決めること

2.温室効果ガス排出量削減に関する2020年の具体的な削減目標を決定すること

3.温室効果ガス排出量削減などに関する2020年以降の国際的な枠組みを構築すること

4.IPCC第5次評価報告書に記載された内容が正しいかどうか判断すること

⇒なんといっても、この冬の低炭素社会関連の話題はこれでしょう。多くの成果があったと思いますが、なんといっても今世紀末には、実質、温室効果ガスの排出をゼロにするという宣言・・・いろいろな意味で抜本的に取り組みや頭を変えてゆかねばならないことを感じました。



さて、これから1年、どんな出来事があり、どんな話題が検定問題に彩を添える(?)のでしょう?!



★ベトナム・カンボジア視察ツアーへのお誘い(3R国際学会への参加を含む)

なお、3R・低炭素社会の両分野において、解決に向けたソフトとハードの取組について、国際的な関心やニーズが高まっていますが、2016年3月にはベトナム・ハノイにて、第三回目となる3R国際会議が開催されます。検定を学術面から支援する関係者も多く参加しますが、筆者も国際事務局として全面的に準備に関わっています。多彩な角度から3Rや廃棄物管理に関する基調講演、250人程度の最先端の研究発表が予定されています。関心があれば、是非参加もご検討ください。

詳しくは:http://www.3rincs.org/wp-content/uploads/2016/01/3RINCs2016VN-CallforAbstractsVer2-160120.pdf

また、会議にどっぷり参加するのは言葉の問題もあり、気が引けるが・・・という方には、この機会にあわせて視察ツアーを用意しました。国際学会の雰囲気を味わって頂いた後、ベトナムだけでなく、カンボジアにも出向き、アジアのごみ問題の「今」を見てもらおうというもの。関心のある方は、検定事務局までお問い合わせください。



問題の正答:【問1】~【問4】全て4 【問5】3


※「バイオ燃料 ~市民が支えるバイオディーゼル燃料2~ 中村一夫氏(京都高度技術研究所)」は次号でご紹介予定です。





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