Vol.38 3R・低炭素社会検定が合格者とともに目指すもの~次の時代へのチャレンジ~ 花嶋 温子



3R・低炭素社会検定が合格者とともに目指すもの
~次の時代へのチャレンジ~ 花嶋 温子

3R・低炭素社会検定は今回6回目の検定試験をむかえます。3R検定としてはじまり、低炭素社会部門も加えた3R・低炭素社会検定へと発展したわけですが、合格者数はのべ3759名(3R部門:2861名/低炭素社会部門:898名)にのぼります。両部門の重複合格の方々がいらっしゃるとはいえ、日本全国に推定3000名の合格者がいらっしゃるというのは、心強い数です。

熱意と努力の結果の合格者3000人が巻き起こす新しい風が、とても楽しみな時代がやって参りました。

この度、私は本検定の実行委員長を引き受けさせていただくことになりました。単なる実行委員の一人だった時には想像も出来なかったほど、本検定は豊かであり貧弱です。

まず、貧弱なところは、経済的にとても貧弱です。検定というと、漢字検定の不正流用事件などを連想されて大儲かりのイメージがあるかもしれませんが、あれは受験者数が二百万人規模の検定の事例です。本検定の規模では、むしろ赤字にならないのが不思議なくらいです。

そして、豊かなところですが、人がとても豊かです。検定講習会の講師陣の質は驚くほど高く、また熱意に満ちています。ほとんどボランティアなのに丸1日立ちっぱなし、しゃべりっぱなしの講習会を快く引き受けてくださるのは、奇跡としか言いようがありません。検定の問題作成についても然り、これだけの質の問題を作って校正をするという気の張る仕事を、ほとんど何の見返りもなくこなして下さる方々がいらっしゃいます。もちろん、地域パートナーのみなさんも強い熱意を持って引き受けて下さっていますし、当日の試験監督や会場案内もほとんどがボランティアです。そして、みなさん寒い中もくもくと各自の持ち場を守ってくださいます。

つまり、この3R・低炭素社会検定は、経済的にはありえない状態で運営されているのです。無償で働いていただいているみなさんの労力を有償だとして試算すると、現実に本検定が動かしている金額のたぶん100倍は動いているのではないかと思います。そのくらい、奇跡的に存在している検定です。もちろん、この検定自体が持続可能になるためには経済的基盤を整えることも必要です、そのための努力もします。でも、素晴らしいことだと思いませんか?熱意と志だけで存続している検定がこの国にあることが。私はとても誇らしいことだと思います。

実行委員会としても、検定合格者のみなさまのネットワークや活躍の場について、いくつかの地域ではプログラムを開始しています。しかし、個人情報保護などの面から、こちらから無理に情報をお届けすることは難しい時代です。どうか、ご自分から出てきてつながっていただけないでしょうか。またまた無理なお願いかもしれませんが、ぜひ、ご協力ください。一緒にこれからの検定を、そして、持続可能な社会をつくりはじめましょう。

気候変動による異常気象やエネルギー枯渇による大きな変化が、私たちの未来に待ち受けているかもしれません。そのときにも耐えられるような持続可能な社会をつくるために、どうか、多くの方々と一緒に学びつづけましょう、そして、しなやかに社会を変えていきましょう。学びつながることには、それだけの力があると信じています。

現状の経済合理主義に反する本検定の存在そのものが、次の時代へのチャレンジかもしれません。検定合格者のみなさまのあらゆる種類のご協力とご参加をお待ちいたしております。








花嶋温子









【プロフィール】

花嶋温子
3R・低炭素社会検定新実行委員長

現職:大阪産業大学人間環境学部講師
大阪大学工学部環境工学科卒、大阪大学大学院工学研究科環境工学専攻、
プランド研究所、西日本工業大学工学部講師を経て現職

東京生まれの福岡育ち、シマミミズ1000匹、メダカ20匹、文鳥1羽、娘1人、夫1人と大阪近郊の狭いマンション暮らし。

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