vol.13 ~ 「3・11をどう受け止めましたか?」~ 浅利 美鈴


「3・11をどう受け止めましたか?」~◎◎ 浅利 美鈴

リーダーに問う
「3・11をどう受け止めましたか?」

東日本大震災から半年が経ちます。8月末に回った岩手県沿岸部の町では、災害廃棄物の撤去が随分進んでいました。家屋の基礎だけが残った町は、雑草に覆われており、思ったほど殺風景ではありませんでしたが、これから来る冬を考えたり、無機質に並ぶ仮設住宅を見たりすると、まだまだ続く過酷な生活に心痛みます。

3・11以降、全国で多くの人が「価値観が変わった」などと話し、実際にライフスタイルを変えた人も少なくないと思います。また、これまで、光があてられなくてもコツコツと続けてきた環境活動が、急に脚光を浴びたりすることも多いと思います。3・11を、バランスがとれ、成熟した、日本らしい「持続可能な社会」を目指してゆくためのターニングポイントにしなければならないと思う日々です。

3R・低炭素社会検定合格者(以降、リーダーと呼ばせて頂きます)に求められる役割も大きくなり、また変化すると思います。特に、「3R」の視点からは、災害廃棄物への対応を受けて、各地でも災害に備えようという動きが出始めています。災害時にこそ、基礎知識や地域連携の真価が問われます。私は、廃棄物資源循環学会のタスクチームとして、災害廃棄物のマニュアル整備に関わっていますが、是非、リーダーの視点からも読んでみて頂ければと思います(詳しくは、http://eprc.kyoto-u.ac.jp/saigai/)。また、災害廃棄物からは、現代社会の物質消費の現状も見えてきます。いかに多くの物に囲まれて暮らしているか、処理困難な物も多いか・・・今一度、必要な物、大切な物を見直す機会にもしなければなりません。今後、リーダーのみなさんにもご参加頂いて、そのようなことを考える機会も作りたいと思います。

「低炭素社会」の視点からは、省エネルギーだけでなく、再生可能エネルギーについても、導入環境が大きく前進することになりました。現在の「3R・低炭素社会検定公式テキスト」では、あまり詳細に仕組みなどについて触れていないため、2012年度の改訂に向けて準備を始めているところです。
しかし、何より多くのリーダーが頭を悩ませているのは、放射性物質の問題ではないでしょうか?これまで勉強の機会も、リスクコミュニケーションも十分でなかったため、データが不十分なだけでなく、データがあっても、理解・共有することは簡単ではありません。不安感や不信感も付きまといます。まさに、知識以上のものが求められているのです。本検定で扱うにも、相当の勉強が必要ですが、リーダーの方からは、様々な声も寄せられており、今後、何らかの形で意見交換を始めなければならないと思っております。

リーダーのみなさんのご参加、ご協力、よろしくお願いいたします。



浅利 美鈴

【プロフィール】
浅利 美鈴 (あさり みすず)

現 職 3R・低炭素社会検定実行委員長/京都大学環境科学センター助教
略 歴
2000年、京都大学工学部地球工学科卒業。
2004年、工学博士。研究テーマは「ごみ」。京都大学のエコキャンパス化にも取り組む。また、学生時代に「京大ゴミ部」を立ち上げ、環境問題の普及啓発・教育活動に取り組みはじめる。2003年には「京都ごみ祭」を開催。
2005年からは、京都議定書達成に向けた「びっくり!エコ100選」や「京都議定書バースデーウォーク」などを展開。国や地方自治体の各種委員も務める。

ページの先頭へかえる