Vol.117 「リユース食器を通したコミュニケーション」太田 航平



「リユース食器を通したコミュニケーション」

太田 航平

 お祭りやイベントでは、利便性や効率性などを重視したライフスタイルや価値観によって失われてしまった“コミュニケーション”が、「リユース」によって取り戻されつつあります。


 使い捨て包装容器、中でもペットボトルや缶などは、回収・リサイクルされる際に新たなエネルギーを必要とすることが周知の事実。
 限りある資源を有効に使うという観点からは、ごみの発生自体をなくすこと「リデュース」はもちろんのこと、一般に省資源・省エネルギーで済む再使用「リユース」が「リサイクル」の前に必要不可欠です。
 しかし、「リサイクル」のイメージが社会的に定着している一方で、「リデュース」「リユース」に関しては認知度が低く、多角的な取組みが未だ必要不可欠な状態であることは否めません。


 そこで当団体では、2Rの重要性を広く発信するため、何度も繰り返し洗って使用出来る「リユース食器」を用いた地球温暖化防止やごみ減量方策の仕組みづくりに2000年から取り組んできました。
 ようやく「リユース食器」も全国的に浸透してきましたが、この考え方や実践内容、「リユース食器」というネーミングにハートのロゴマークなどは、私たちが活動の拠点としている京都発の取り組みとして注目をいただきました。


 京都を代表する祇園祭や大学の学園祭、保育園の催しに行政主催のイベントなどなど、大小規模を問わずお祭りやイベントの現場では、「脱・使い捨て」を掲げ、「ごちそうさま!」「おおきに!」と食器を返却する来場者の姿を数多く目にするようになってきたことはとても喜ばしいこと。
 なんともない光景のようですが、ただ「捨てる」という行為の中ではこのような“コミュニケーション”は生まれにくいのです。

祇園祭ごみゼロ大作戦

祇園祭ごみゼロ大作戦


 この仕組みづくりの過程では、市民のみならず、事業者や行政など各ステークホルダーとのしっかりとしたパートナーシップがありました。
 新たな概念や価値を創造する上で、多様な主体が集まり、知恵を持ち寄り、責任を持って自分の役割を果たすことはとても創造的で楽しいことです。
 このような取り組みが、お祭りやイベントに留まることなく日常に広がり、より豊かなコミュニケーションと持続可能な地域づくりにつなげられるよう、今後もみなさんとともに頑張れればと思います。
 ぜひリユース食器を活用してみてくださいね!

 

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太田 航平

【プロフィール】
太田 航平(おおた こうへい)

NPO法人地域環境デザイン研究所ecotone 代表理事
(一社)祇園祭ごみゼロ大作戦 理事長

 持続可能な地域づくりの"仕掛け"や"仕組みづくり"を行うNPO「地域環境デザイン研究所ecotone」代表理事。
 主な活動のひとつとして展開する2R(リデュース・リユース)をキーワードとした「リユース食器を活用した環境対策」は全国に広がり、日本三大祭である京都の祇園祭や大阪の天神祭でも導入され、ごみの具体的な削減につなげている。 

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