Vol.92 「3RとESD:持続可能な開発のための3R教育について」藤原 健史



「3RとESD:持続可能な開発のための3R教育について」

藤原 健史


 中学校の英語の時間に「L」と「R」の発音の違いを教えられたが、未だにその発音の違いを表現するのは難しい。
 そのため、「R」は私にとって特別に意識している文字である。
 そして「R」のグラフィックは、左手を腰に当て、左足先をちょい立てたおしゃれなポーズを想像させて可愛い。
 それがトリオとなった「RRR」はなお可愛い。

 「3つ」という数は、「3本の矢」を思わせ、3つが集まれば強い結束力のシンボルとなる。
 また、3人が互いに手をつなぐ輪の構造は力のバランスを表している。


 「3R」という2文字は、最初から意図されていたのか、偶然なのかわからないが、循環型社会のシンボルとしてぴったりとはまっている。
 少し前まで、大学の講義で

 「3Rって何か知ってるか?」

 「知らない」

 「ごみのリデュース、リユース、リサイクルなんだよ」

 「なるほど・・・」

 という切り口で授業を始めると、学生さんの興味を刺激でき、講義がスムーズに行えた。
 今は、「3Rって知っている人は手を挙げて」と言うと、半数ぐらいは手を挙げる。
 「3R」の2文字の宣伝効果は大いにあったと思う。


 ところで、持続可能な開発のための教育(ESD: Education for Sustainable Development)という取り組みが、国際的にはユネスコが中心となって広がり、日本では文部科学省が後押ししている。
 世界中にある環境、貧困、人権、平和、開発といった現代社会の課題を認識し、持続的な社会を創造してゆくことを目指す学習や活動のことである。
 「3R」教育はこのESDにおいても重要なファクターであり、世界の人々が「3R」の知識を常識として有し、当り前のように行動できる社会がやってくることが望まれる。

 「3R・低炭素社会検定」が始まって9年間に5000人以上の合格者が輩出され、その人々がさらに多くの市民に「3R」の知識を広げてきた。
 この地道な「3R」の教育活動を無くして、循環型社会の形成はありえない。


 10年目を迎える「検定」に敬意を表すとともに、これからも地道で継続的な普及活動をお願いしたい。

 

 

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藤原 健史

【プロフィール】
藤原 健史(ふじわら たけし)

◆岡山大学大学院環境生命科学研究科・廃棄物マネジメント研究センター教授
・国内外の廃棄物マネジメントに関する研究・活動を行っている。
・岡山市の3R・低炭素社会検定の講師を担当してきた。
・3Rのアジアや世界への普及が必要と考えている。



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