Vol.46 「どのグループに入るか?」


「どのグループに入るか?」

京都大学環境科学センター 助教◎◎◎◎
3R・低炭素社会検定実行委員 事務局長
浅利美鈴


「京都大学で環境学を考える研究者たち」を幅広く集め、「環境学」という書籍に編集し、この4月に出版に至った。3Rや低炭素の話ももちろん入っているが、宇宙や地球の話に始まり、人類の歴史や社会の仕組み、途上国の問題まで、かなり幅広く俯瞰できるものを目指した。目から鱗の連続・・・「この問題がここにつながっていたか!」「農業のプロの視点から見ると、堆肥化はそう評価されるのか」など、何より自分自身の勉強になった。

中でも、一般的な環境本であまり見られないと思うテーマの一つが「健康・疾患」だと思う。このテーマについては、医師であり、京都大学大学院人間・環境学研究科の教授でもある林達也先生が、ラットの実験結果を紹介しながら、人間の健康・疾患と環境の関係を問うている。

ラットを4グループにわけ、それぞれ、ランニングができる環境(回し車の設置)の有無と餌の量を変えている。
グループA:腹9分目・運動できる
グループB:満腹・運動できない
グループC:腹7分目・運動できる
グループD:腹5分目・運動できない

さて、どのグループが最も長生きか?短命か?

結果、もっとも短命だったのがグループBで、グループAが中ほど、グループCとDが同程度となった。つまり、腹いっぱい食べてほとんど動かないぐうたら生活(B)は、命とりということがわかる。逆に運動しなくても、食事制限すれば(D)結構長生きできそうなこともわかる。ただ、運動をしない分、早くに筋肉や骨の老化が生じ、不健康に長生きすることが指摘されている。
さて、みなさんはどのグループに入っているか?これからどのグループを目指すのか?6月は環境月間である。この機会に、腹八分目+適度な運動(脱車)生活を始めてみてはいかがだろうか?





浅利 美鈴



【プロフィール】

浅利 美鈴(あさり みすず)

現 職
3R・低炭素社会検定実行委員会事務局長/京都大学環境科学センター助教

略 歴
2000年、京都大学工学部地球工学科卒業。
2004年、工学博士。研究テーマは「ごみ」。京都大学のエコキャンパス化にも取り組む。また、学生時代に「京大ゴミ部」を立ち上げ、環境問題の普及啓発・教育活動に取り組みはじめる。2003年には「京都ごみ祭」を開催。
2005年からは、京都議定書達成に向けた「びっくり!エコ100選」や「京都議定書バースデーウォーク」などを展開。国や地方自治体の各種委員も務める。


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