農家さんから野菜を買おう


農家さんから野菜を買おう』


山口 茂子

皆様、こんにちは。
東京在住の山口茂子です。

この原稿を書いている今は、10月の終わりです。そろそろ本格的に朝夕も冷え込むようになってきました。自宅では厚手の靴下や湯たんぽを準備し、温かい飲み物にほっとする季節です。
私の好きな野菜も夏野菜が姿を消して、秋冬の野菜が本格的に店先に並び始めています。
野菜好きが高じて、ここ数年農家さんとの交流が増えてきたこともあり、新米の登場や、野菜の収穫時に、敏感になってきました。この季節、「収穫祭」ということばをしばしば耳にします。
私が交流をしていただいているいくつかの農家さんは、農薬を使わず、肥料を使わず、そこにある自然の姿での農法を目指している方がたくさんおられます。農薬を使わないというのはよく耳にしますが肥料を使わないというのは、あまり耳慣れないことかもしれません。しかし意外なことに、お米も野菜も、自らの能力を最大限に生かして素晴らしい成長を遂げ、それは美味しい実りをもたらしてくれるようです。
簡単に書きましたが、実際は、すでに人の手が入ってしまった、完全な自然のなかで行うことではないので、土や風、太陽と対話しながら、植物たちの声を聴くべく多大な努力を積み重ねたうえでの成果なのだと思います。植物たちの声を聴くといっても直接話ができるわけではありません。そうなると、葉っぱのかたちや色、成長の仕方などをつぶさに観察していくという方法になります。

この農法をする人たちの声に耳を傾けると、みな同じように、農薬を散布しない畑や田んぼで自然に近い生態系がみられることを喜んでいます。夏の夕涼みに蛍を楽しみ、カエルの声を聴き、バッタが飛び跳ねる、一年中いろいろな姿を見せる田んぼや畑に飽きることはないそうです。そして、一番素晴らしいのは自信をもって子供たちを畑や田んぼに迎えることができることのようです。農薬を散布した田んぼに裸足の子供たちを入らせることはできません。

最近、このような無農薬、無肥料に取り組む農家さんから直接送られる野菜の購入をはじめました。季節ごとに収穫されるたくさんの野菜が箱いっぱいに詰められて届きます。同じ野菜でも出始めのころのものと、終わりころのものでは違います。今日は○○を作るから、帰りにスーパーでキュウリを買おうとか、食べたい献立に合わせて買い物をするのでなく、新鮮なホウレンソウがあるから、今日はトマトが届いているから、そういう食事の用意の仕方になります。
ときには、野菜の箱に「我が家の食べ方」といったレシピがついていたり、少しだけど○○が採れたのでと、スーパーでは買えないようなハーブ類などが入っていたことも。
畑から直接届く段ボールを開ける瞬間は、街中で働き、1日の多くの時間を建物のなかで過ごしている私には、季節の変化や自然のありがたみを目の当たりにする瞬間でもあります。
「端境期」。そういった言葉もスーパーでの買い物ばかりでは、縁がないものになってしまいましたが、直接農家さんの野菜を買っていると、ちゃんと端境期があり、夏野菜が終わると少しの間、秋冬野菜の収穫待ちになります。
もちろん野菜を使った献立にも季節ごとの楽しみが・・・。

皆様もそれぞれの地域でがんばる農家さんを探して、野菜のお話を聞きながら直接お買いものいかがでしょうか?
宅配をしなくても、近所に畑がある人は直接農家さんから野菜を買うこともできるし、ファーマーズフェアのようなかたちで、農家さんが集まって出店することもあるので、そういった機会に生産者の方と直接、会話をしてというのは楽しいばかりでなく、環境にもやさしい買い物の仕方ではないでしょうか。


農家さんから野菜を買おう
たまにはこんなお客さんが…

今回も、最後までご覧いただきありがとうございました。

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