昔ながらの道具たち-洗濯板-


『昔ながらの道具たち-洗濯板-


山口 茂子  

 皆様、こんにちは。
 東京在住の山口茂子です。

 地球にやさしい暮らしを合言葉に、少しずつ昔使っていた良いものもここ数年で見直されています。昔は、長持ちする良いものを買って大切に使用していたものも、少しはやると手を変え品を変えで、カラフルだったり、キャラクターがついていたり、小さかったり、大きかったりといろいろな姿かたちにアレンジされていることも多く、「モノ」が溢れて、もったいないという気持ちと、工夫することは良いことかもという気持ちの両方が入り混じった複雑な心境になることもあります。今回はそのような商品のひとつで、「洗濯板」を取り上げてみたいと思います。

 私はまだ洗濯板を持っていません。まだ・・・というのは、欲しいとは思っていて、手頃な品を探しているところだからです。欲しいのは2枚で、ひとつは自宅で「ちょこっと洗い」用か、袖口やシャツのえり洗いに。もう一つは職場のタオルや布巾の洗濯に。職場は、オフィス街にあり、近所にコインランドリーはありません。タオル類は暇をみて手洗いしていますが、なかなか綺麗にならず、これは洗濯板かも、と思っているところです。

 何より、自宅でも職場でも、強い洗剤があまり好きではないので、重曹やエコ洗剤を使っており、漂白剤も滅多には使わないため、どうしても強い汚れやしみが残るときがあります。シミがあるときなどは、洗濯後に再度、もみ洗いをしますが、素手でゴシゴシ洗いをすると手の皮膚がいたいし、なかなか落ちない。

 ちょっとしたものを手洗いすれば、水道代や電気代の節約になるということで、100円ショップや、雑貨屋さんでもプラスチックのかわいい洗濯板をよく見かけます。値段も手頃ですが、どうせ買うなら吟味して買ったほうが結果的に得になります。
昔は木製の洗濯板を使っていたのですから、材質や作り方にもきちんと理由があるに違いありません。

 調べてみると、洗濯板に適しているのは「さくら」の木。理由は湿気に強いこと。そして木肌がなめらかなこと。板でゴシゴシ洗っては衣類が傷みそうな気がしてしまいますが、なめらかな質感であれば、おしゃれ着などでも使えそうです。

 とくに最近は、小さいサイズが人気のようで、おふろやキッチン、洗面所などに常備して、ハンカチやふきん、そのほか小さい子供がいる家庭では、食べこぼしの服などもすぐに洗えると重宝している様子です。

 写真は、土佐で木工製品の製造と販売をしている会社「土佐龍」さんの洗濯板です。ここの会社では、最近洗濯板を作り始めたそうですが、結構な売上となっているようです。


       洗濯板 
 土佐龍ウェブサイトより
 洗濯板は大・小、切込を丸くカーブさせることによって、泡がたまりやすくなり汚れがよく落ち るとのこと。 
 小型は持ち手もついていて、使い勝手が良さげです。

 こうした古い知恵を新しい社会にあったやり方で工夫をして、活用するというのは理想的な姿に思えます。かつてどんなに良いものであっても、無理やり押し付けられたものは、馴染むことはありません。

 仕事をしながら、家族の面倒を見ながら、なおかつ膨大な洗濯物をすべて洗濯板で洗うのは、いくら環境にやさしくても続けることはできませんが、キッチンや流しの横に置かれた洗濯板でシミや食べこぼしをすぐに洗う、ふきんを1日の終わりに洗って清潔に保つ。こういった現代の生活の知恵によって、水や電気だけでなく、身の回りのものを大切に使うことにもつながっているように思えます。もう一つ、現代風なモダンなキッチンにも洗面所にもしっくりと綺麗におさまるデザインも美しいところが、洗濯板ファンを増やしている理由にもなっている気がします。

 今回も拙い文章を最後までお読みいただいて有難うございました。

ページの先頭へかえる