減資源・減エネ型社会へ 高月 紘

  地球温暖化防止の取組は世界的に注目がされていますが、欧州は比較的率先している地域といえるでしょう。近頃は、地球温暖化問題と比較すると3Rなどの他の環境分野がかすんでみえてしまうこともあるくらいです。このことは、欧州でも同様な状況にあるようです。例えば、研究予算などの枠が地球温暖化関連は大きいのですが、廃棄物や3Rの分野は縮小傾向にあるということを聞きました。メリハリをつけて優先的な事項に手厚く手当てすることを否定するつもりはありませんが、ある問題を解決するために他の問題を引き起こすことを看過するわけにもいきません。

高月 紘

 一方、欧州のエコデザイン指令は、その主眼を製品の使用段階におけるエネルギー消費にあてています。この指令のなかでは、それ以外の環境負荷もふまえて統合的に対策を講じていくことを求めてはいるのですが、概念的な指摘にとどまっており、具体的な取組や対策の枠組みへはつながっていません。使用段階のエネルギー消費だけに偏りすぎていることについては、欧州の一部の良識ある方々も懸念しているということを昨年末のとあるワークショップで実感した次第です。

 現在は、低炭素社会と循環社会、自然共生社会、低リスク社会といった複数の分野にまたがる問題にどう取り組むかが問われているといえるでしょう。特に、低炭素社会と循環社会は、大量のエネルギー・資源の生産・消費・廃棄(排出)という共通の社会構造をその背景に有しています。
  どのように複数の分野にまたがる問題を、適切に調整しつつ解決していくかについて、具体的な答えはまだ世の中には出ていない、少なくとも広まっていない状況です。ひょっとしたら、万能薬はなく、その都度、的確な調整を行うことが必要なのかもしれません。

 ご存じのように、本検定は「3R検定」から「3R・低炭素社会検定」へと転換し、一歩、前身しました。検定の合格者の皆様には、まだ見つかっていない、そして、広まっていない次の一歩の答えを見つけることに、もしくは、これから皆様が直面する場面においていかに3Rと低炭素を的確に調整するかということに、一歩進んでご活躍されますよう陰ながらお祈り致します。

スウェーデン・ルンド大にて

■プロフィール: 田崎 智宏 (たさき ともひろ)

現 職 国立環境研究所主任研究員
専門分野 環境工学(化学),安全工学,政策評価

【現在行っている研究テーマ】
・リサイクル法制度の評価
リサイクル法制度の見直しに向けた制度の実態評価
・2Rの促進に向けた調査・解析
リデュース・リユース(2Rと呼んでいます)を促進するために,廃棄物の発生要因や

長期使用が及ぼす環境と経済への影響などの調査・解析
・持続可能な発展に係る指標開発
日本の持続可能性についての現状を端的に示す指標の研究

今までに寄せられたメッセージ
Vol.1 減資源・減エネ型社会へ             高月 紘
Vol.2 “3Rと低炭素”は持続可能社会の条件か?  内藤 正明
Vol.3  CO2削減と3R:サステイナビリティへの統合  植田 和弘
Vol.4 3R×低炭素社会に寄せて             浅利 美鈴
Vol.5 消費者の声を企業に!              織 朱實
Vol.6 ~合格者の皆様へ                  田崎 智宏
Vol.7 ~他のいのちの声に耳を傾ける~        梶田 真章
Vol.8 ~ 2Rについて知る ~              山川 肇
Vol.9 ~オーガニック社会のリデザイン~        森  孝之
Vol.10 ~災害廃棄物が語ること~            浅利 美鈴
Vol.11 ~省エネと家族の絆~               村岡 良介
Vol.12 ~21世紀の水先案内~              秦 めぐみ
Vol.13 ~3・11をどう受け止めましたか?~      浅利 美鈴